■南大隅町と核のゴミ
高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定をめぐる問題でながいこといろいろもめてきた鹿児島県南大隅町。
現町長の森田俊彦氏が選挙で当選したことや就任した時からなんかおかしい雰囲気が漂っていたが、この辺りをめぐる裏話については、いろいろ取材されているほかの諸サイトに詳しいのでここでは触れないでおく。昨日(2017年7月16日)の南日本新聞の1面トップが国の高レベル放射性廃棄物の候補地「科学的有望地」を示す地図の公表が遅れている旨の記事だった。これまで候補地の選定の手順は、「市町村」に手を上げさせる「応募制」だった。鹿児島県では先の森田町長になってからこれに手を上げようとしていたが、当時の伊藤知事から、
「鹿児島は観光で食ってるのにそんなのつくったら逆効果だ」
といわれ、話が立ち消えになった経緯がある。そもそも、核のゴミをうけいれますか人に聞けば「いやだ」というにきまっている。だからこそもめているのだが金が絡めば話は別だ。多少のリスク(すくなくとも少し先まではまずまず安心)ということならば、年々人口は減り限界が近づいてきた過疎地の自治体がちと考えるのも想像に難くない。
■そもそも高レベル放射性廃棄物とは?
原子力発電で使用済みの燃料は、基本的に高レベル放射性廃棄物だ。日本では使用済み核燃料を青森県六ケ所村の再処理工場で使用済み核燃料からウランとプルトニウムをとりだしてMOX燃料というものを作り再び燃料として再利用する。MOX燃料を作った後には廃液がでるがこれは利用できない本当の「高レベル放射性廃棄物」となるので六ケ所村ではこれを安定している物質であるガラスで固めてステンレス容器に入れて一定期間保管し、その後地下300mの安定した地層に作られた、まだ決まってないどこかの最終処分場へ埋められることになっている。
この、高レベル放射性廃棄物というのが本当に危ない代物で、ガラスでかためた直後 14000シーベルト/時(2秒の値約7.8シーベルトは、100%の人が死亡する被曝線量に当たる。)というからぞっとするどころの話ではない。50年後でも 0.01シーベルト/時(6分の値である0.001シーベルトは、一般公衆の年間被曝線量限度に当たる。)程度にしか減らないというからとんでもないものを作り出してしまったものだ。また、六ケ所村ではガラス固化体を作り直すことは今まではしていない。また、放射線によって貯蔵施設自体が傷むので、貯蔵施設もいつまでもは使えないという。じゃあどうするか。人間からできるだけ遠ざけて埋めるしかないね。どこがいいかな?鹿児島の片田舎なんかいいんじゃないか?南大隅町とか。
って話になっていると推察する。
鹿児島の地方都市は大都市の植民地ではないぞよ。
■しかしながら困っているのは事実
すでに大多数の人は原子力発電の恩恵を享受している状態であり、原発停止の選択肢はあるにせよ、今この状況を何とかしないといけない。
「原子力ムラ」の人たちは自分たちの仕事を終わらせようとして金と詭弁を使って地方にリスクを負わせようとするし、それを暴いて騒ぎ立てる人たちもいるが、ホントの問題は金と利権じゃない。高レベル放射性廃棄物処理問題は、これからの人類にとって最も重要で根源的な問題だ。
ずっと原子力のことをやってきた人にしかこの問題は解決できないのじゃないかとおもう。だったら、原子力村の人の中からこれまでの枠組みを超えて真剣に検討をする人が出てくることの望む。
これはもう原子力に関連した利権の話ではなく人類の将来の話なのだから。もっとまじめに考えようぜ。
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