安芸高田市の石丸市長と市議会について

このところ、安芸高田市の石丸市長関連の動画ばかり熱心に見ている。面白いったらありゃしない。

おかげで、安芸高田市議会の議員さん全員の名前を覚えてしまったほどだ。自分の住んでいる自治体の市議会議員の名前もよく知らないのに。それにしても、何でこんなに面白いのか。今回はその面白さの秘密を分析してみた。

政治というのを知らんかった市民

「面白いったらありゃしない。」などと不謹慎なことを書いてしまったが、本当はそれどころではない。予想を上回る人口減少スピードが全国で起こる中、安芸高田市も例外ではなく・・・というか代表的な例であり自治体として存亡の危機に瀕しているといってよい。

グラフは、安芸高田市の人口の推移2015年の国勢調査をもとに2045年まで推計したものである。(出典:現況分析・課題整理について 2022年3月25日安芸高田市 企画振興部 政策企画課)

人口が最も多かったころに合わせて道路や橋や、そのほかの公共施設はできている。これらの維持管理費は今後足りなくなってくるのは自明の理であり、自治体自体をダウンサイジング、適正な規模まで小さくしていく必要がある。

速い話が、ちょっと調べればすぐわかるようなこの基本的な事実に向き合うことをせず、公共事業や支出金、補助金、助成金で飯を食ってる人たちがいっぱいいて、その人たちから選挙で選ばれた市議会議員が公金を自分の支援者たちに配るための議決を行ってきた。このため財政は非常に厳しい状況になっている。

多くの市民はこれが政治だと思っている。選挙の時に誰に入れればよいか。自分の利益になる人に入れるもんだ。そう思っている。安芸高田市に限らない。他の自治体でもたぶん似たようなものだ。団塊の世代が世の中を動かしている間、何十年も同じことが行われてきたのだ。

「二元代表制」という単語をメジャーにした石丸伸二市長

令和2年8月に初当選した石丸伸二市長は、「この先も世界で一番住みたいと思えるまち」となるよう、市政運営に取り組むとし、次の3つの方針を掲げた。

  • 政治再建として、政治の「わかる化」
  • 都市開発として、将来を見据えた投資
  • 産業創出として、リモートを活かした人材の確保

もっとも功績が顕著なのは、政治再建としての「わかる化」だ。議会の様子をYoutubeで全配信するとともに、だれかが勝手にその動画を編集して再配信するのも「止められない」としている。

これによって、議会の最中、居眠りをする議員がいることや、知識不足や勘違い、石丸市長の上げ足をとるのが目的の一般質問を石丸市長が論破していく動画が非常に人気を集めた。マスコミは、市長と議会が対立する様子を異常な事態ととらえ報道したが、石丸市長は「二元代表制とは本来そのようなものであり、議決の前の根回しは不要」とし、市の執行部と議会が対立するのが正常な政治の姿であるとした。

二元代表制なんて、石丸市長が言うまで誰も知らなかった。市議会議員選挙なんて知り合いに入れるもんだと思っていた。お友達に利益をもたらす議員じゃなくて市政を考えられる議員を選ばないといけない。きちんと政治を行ってほしいのであれば市民が意識を変えなきゃだめだと石丸市長は市政説明会などで何回か言っている。石丸伸二市長は二元代表制という言葉をメジャーにし、心ある市民を政治に目覚めさせたといえよう。

安芸高田市、石丸市政に見る政治の厳しさ

石丸伸二市長は2つの民事裁判の被告となっている。一つは選挙ポスターの費用の件、もう一つは通称「恫喝裁判」だ。この2つについて詳しい説明は省くが、要は石丸市長がこれまでの慣習を破ってきたため揉めている事象だといえる。

一審ではどちらの裁判も敗訴した。しかし裁判になっても、正論を貫いていく石丸市長の姿は見ていてすがすがしい。正論が通らない世の中に風穴があけられようとしている様子をYoutubeでみんな見ているのではないか。

政治再建は市民再建

石丸市長は、「これだけ言ってもまだわからないようであるならば、私はもう知りません」と市民に向けた説明会で言い放った。政治を行うのは議員と首長だが、それを選ぶのは市民。市民がせめて、上記グラフの内容を理解してくれるのならまだ救いようもある。

しかし、人口が減っていることが実感されるようになってきてもまだわからない人が大勢いるようだが全国の自治体は果たして今後どうなっていくのだろうか。

日本は国民主権の国であるのに、国民市民は政治に無関心で、ろくすっぽ選挙にもいかないようになってしまった。そして行政と議員が体よく話し合って、国民の知らない間にお金の使い道を決めていき、現代のような危機的状況にまで陥らせた。もう一度肝に銘じなければならないのは、行政の長と議員は国民が選んだ人であるという事実。

政治改革をするのなら、市民はこの事実を重く受け止めて意識改革しなければならない。政治に無関心な市民を再建することが政治改革なのではないだろうか。

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