憲法改正も秒読み~国民投票制度の不備を正せ

■ 憲法改正の準備整う

衆議院議員選挙も終わり、当ブログで予想した通りの結果となったと思う。

希望の党は大敗したというが、49議席(23日9時45分現在)を獲得した。

公明と維新抜きでも9条改正推進派の自民と希望だけで333議席で3分の2(310議席)を超えた。

これで衆議院での憲法改正の準備は出来上がった。

参議院の方での意見調整の準備が整えば、安倍さんが首相でいるうちに憲法改正発議は行われるだろう。

ただ、憲法改正は衆参両院の3分の2以上の賛成によって発議して、最終的には国民投票で決まる。実は最終難関はこの国民投票のしくみだ。

■ 国民投票は有効投票率が決まっていない。

憲法改正は、発議されるとその一つの案毎に国民投票が行われ、投票総数の過半数を超える賛成をもって決まるということになっている。

ところが、国民のどれくらいが投票に参加すれば有効になるのか、それが決まってない。極端な話日本国中で10人だけが投票して、6人が賛成すれば憲法は改正されるということになる。そんなバカな。

ここで諸外国の例を見てみよう。

韓国やロシアでは有権者の過半数が投票することが国民投票そのものの成立要件であるし、ポーランドでも有権者の過半数が投票しなければ法的拘束力が発生しないとなっている。
デンマークなどはもっと厳しくて、投票総数が有権者の過半数を超えて、なおかつ有権者総数の40%以上の賛成があってはじめて憲法改正が成立するそうだ。

■ まずは、国民投票の成立要件をしっかり決めてから。

現状で国民投票が行われれば、普通の国政選挙並みに50%強位しかないことが予想される。その過半数の賛成でということであれば、有権者総数の25%強、四分の一ほどの賛成意見だけで憲法が改正されることとなる。

では、ここで、諸外国並みに有効最低投票率が50%以上というふうに決めた場合、国政選挙の投票率が50%前後となった日本の状況では、「憲法改悪反対!棄権しよう」なんていう運動が起これば50%を下回り、すなわちこれまた少数の反対意見で国民投票が成立しないという事態になりかねない。いまだに有効投票率を決めてないのは、少数の反対意見で国民投票が成立しない事態になるのを恐れている面があると聞く。

ここで問題になるのは棄権をした人の意志である。賛成票を投じたかったがやむを得ず行けなかったのか、反対だから棄権したのか。

■ 分母は「有権者総数」にすべきである

そもそも憲法改正論議は戦後GHQが作った草案がそのまんま憲法になっていることから「これじゃいかん」と自民党のお歴々が疑義を唱えたことに始まっているが、投票率が悪くて、結局有権者全数の4分の1強の意思表示で、「はい、憲法が変わりました」はたまた少数の棄権でもって「国民投票成立しませんでした」ということがあっては、これまたのちの世に疑義を残すことにもなりかねない。

ここは、有効投票率も半数以上にすることはもちろん大事であるが、賛成の意思表示が有権者総数の一定以上でないと改定できないようにすべきではないだろうか。

上記のような想定される事態を考えると、国民投票の成立要件はデンマーク並みにした方が良いような気がする。そうでなければ、真に国民の意思を反映したものとはいえず選挙に強い政党のの思うがままという状況を作り出しかねない。

選挙のたびに報道される選挙の投票率は年を追って減少していっているという。しかし政治家を選ぶのと、国民投票は全然意味が違う。

総務省は憲法改正の国民投票に対する啓発活動に努めるとともに、国会では十分に議論を尽くして、1日も早く最低投票率と成立要件をどこから見ても疑義が起こらないような形で定めるべきである。

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