“女性と仕事”で検索したら
この記事が目についた。
(フランス女性はなぜ仕事を続けられるのか
「母親の仕事」がやたら多い日本と大違いhttp://toyokeizai.net/articles/-/67964)
(東洋経済ONLINE フリーライター:国松則子)
後でゆっくりお読みいただくとして、常日頃思っていることを少しばかり書いたので時間があれば読んでいただきたい。
日本の世の中は男性中心の社会。女性の社会参加が少ない。
ということなので、政府は政策として、厚生労働省は「両立支援等助成金」という制度を設けて、仕事と家庭の両立を支援する事業主に対し給付金を支給している。
まずは、女性が子供を産むために、仕事をやめてしまう例が多かった件について、子供を産んでも働きやすい職場を作りなさいなということで、就業規則の整備から、産前産後休暇から復帰するまでの休業中のフォローの仕方に至るまで、厚生労働省自ら人材派遣大手を使って社労士を雇い、助成金付きで細かい指導が始まっている。
各県の労働局雇用均等室の仕事はもちろん対応する各職場の担当者の業務も増えてなかなかばかにならない大変さだ。さらに、パワハラ、セクハラ、マタハラに対する罰則規定も設けよ、このような制度があることを十分に労働者に周知させよ、とやかましい。
たしかにこれで、出産後の職場復帰率の数字は上がり、政府自民党は胸を張るに違いない。「ほうらこんなに女性の社会参加が進みましたよ」と、選挙の演説の時に言える。
労働局の指導では解決できない問題
しかし問題の本質はそのようなことではないと感じている。
子育て中の夫婦はこれで働きやすくなったのだろうかというと全然実感がないではないか。
結婚していったん退職したが、再度職を探そうという人、産前産後休暇からの復帰する人、その時、家庭と仕事の両立にとって大きな障壁が立ちはだかる。
それは「学校・幼稚園・保育園と自分の仕事の時間が合わない」問題である。
「子育てに追われる時間」の問題が女性の社会進出を阻む
まず、保育園、幼稚園、児童クラブの送り迎えの時間と就業時間が合わない問題から、やりたい仕事への就業をあきらめざるを得ないというのがよくある話だ。子供を預けられなければ仕事はできず、場合によっては今やっている仕事を変えざるを得ない、職場で担当替え等の場合もありうる。
また、就学年齢に達したお子さんをお持ちの人にとっては、PTAなどの行事に参加する時間、土日祝日が仕事の職場にお勤めの皆さんにあっては、子供と話をする時間が取れないという問題もよくある話。学校の行事に参加するには有給休暇を使わざるを得ない。
むしろ本当の問題はここからはじまり、子育て世代は十数年間の長きにわたって頭を悩ますこととなる。15歳までは児童手当も支給され、国は子育て世代に対して手厚い社会政策をとっているようにみえるが、困難なのはお金の問題のみではない。待機児童の問題も未解決であることは周知のとおり。
厚生労働省が各都道府県労働局を通じて、事業者に対し罰則規定付き行政指導や給付金事業等で改善を促すのみでは男女共同参画社会なるものはできず、真の改善とはなっていないのだ。
日本はこれまでいつも家庭にいる専業主婦がこれら子育てを担ってきたためこの問題は表面化してこなかった。厚生労働省は様々な政策を施してこれを変えようとしているのだと思うが、肝心の子供たちが通う学校・幼稚園はそれに対応していない。
当然のように学校行事は平日昼間に予定を入れる。父親参観の日を一年に一度、日曜などにわざわざ設ける。父の日の付近の日曜日だったりする。悪いことではないが「父親は1年に1回でいいよ」という暗黙の了解のようにも思える。男女共同参画社会を標榜するのであればこれではいけない。
ではどうすればよいか。
フランスの例
ここで、最初のリンク先に書いてあったことを参考にしてみたい。
女性の就労率85%のフランスではどうしているのか。
外国の真似をすればよいというものではないが、参考までに箇条書きにしてみた。
1.まず、労働時間と有給休暇 フランスは週35時間 有給休暇は5週間
2.社会習慣として残業しないで帰る。
3.夫が家事育児に積極的
4.幼稚園や学校の保護者会は午後6時から。それも年2回程度。
5.幼稚園や学校の決まりが少ない。(幼稚園にもっていく手作りの手提げ袋などがない)
6.入学式・卒業式・運動会はない。
7.授業参観はない。緊急連絡網もなし。
8.PTA役員はやりたい人がやる。たくさん役はない。
「夫婦は共働きが普通」という前提で学校が体制づくりをしている。なんだか非常に楽すぎて逆に心配になってしまう。これだと、学校と家庭のコミュニケーションがとられにくい弊害があるのではないかと思ったがそんなことはないらしい。
なぜかというとフランスでは安全上の配慮から12歳まで登下校は親同伴が義務付けられているから、登下校の際には必ず先生と会い、短い会話を交わす。保護者面談もいつでも受け付けてくれるのだそう。短い時間でも毎日会うことになる。これはたまにしか学校に顔を出さないよりもいいようだ。
フランスは社交の文化やバカンスの文化があって生活の余裕を大事にしているようなところがあるそうだ。企業も学校もそれに合わせた制度や習慣になっており、夫婦で働いても子育てに支障をきたしたり、自分の休みがなくなるようなことはないようだ。
比較:日本の現状
これにひきかえ日本では・・・となるが、先ほどの箇条書きの日本バージョンを書いてみる。
1.労働時間と有給休暇 週40時間 有給休暇は上限20日
2.社会習慣として残業しまくり。「残業は悪」とお題目だけ唱えてやっぱりやってる。
3.2.のような事情なので夫は家事育児をしない人がまだまだ多い。
4.幼稚園や学校の保護者会は月1回、その他にもたくさん行事や会合、親に対する研修なんてのもある。全部平日昼間。
5.幼稚園や学校の決まりが多すぎ。小物類から集金に至るまで親がいろいろ準備しないといけないもの大変すぎる。
6.入学式・卒業式、きちんと正装。お金も時間もかかるし有休もとらないといけない。運動会もお弁当作り、場所取りたいへん。
7.授業参観月一回。緊急連絡網ではしょっちゅう連絡が来る。
8.PTA役員は大体なりそうな人がなるけど。役は全員参加。一人一役などという制度もある。何かしないといけない雰囲気が作られ「公平に負担」などといって好むと好まざるとにくじ引きなどで役を割り振るもんだから「PTA性悪説」の根源となっている。
これ、もう、ずっとだれか家にいないとできないような体制になっている。「子育ては専業主婦の役目」といわんばかりの完璧な体制としかいいようがない。
夫も最近はイクメンなどといって「自分は家事に協力的なんです」的なスタイルで頑張る人は多いが、じゃあ仕事しながらこれ全部こなせるのかというとやっぱり無理。学校行事に参加しようと思っても有給休暇も何回もとれるものではない。主婦だってパートをすればシフトの世界。自分が抜けたら周りに迷惑がかかると思えば休みにくい。
厚生労働省だけに任せてはいけないのでは?
日本には「一家の大黒柱」という言葉が生きているように夫が外で仕事をして妻が家庭を守る伝統が長く続いてきた。
先ほど前段で批判がましく書いた厚生労働省だが、女性の社会進出を後押ししているからまだよい。いまだにそこから抜け切れていないのは、学校や教育委員会ではないか。
行政的・政策的に連携の無い学校・教育委員会と厚生労働省それと各企業や・職場、これら三者連携しなければ、共働き子育て世代に余裕を作ることなどできないし、それができなければ本当の男女共同参画社会はできないのではないかと思う。
日本の教育行政にはフランスにない良い部分もあるはずで、フランスが全部いいというわけではないが、生活の余裕はフランスのほうがありそうだ。
次世代を担う子供たちの育成は、親だけの仕事・学校だけの仕事ではなく社会全体で担うべき責務。
では具体的にどうすればよいかについてはまた考えて後から書いてみたい。
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