1月31日の衆議院予算委員会質疑で民進党の小川敏夫・元法相が、エンゲル係数をあげ政権批判をおこなった。小川元法相がアベノミクスによって国民生活が苦しくなっていることを表すデータを挙げ、「生活の豊かさを示すエンゲル係数が顕著に上がっている」と指摘すると、これに安倍首相は、「(エンゲル係数の上昇には)物価変動、食生活や生活スタイルの変化が含まれている」と反論、「景気回復の波は全国津々浦々に」「雇用は改善している」などと、いつもの名調子を繰り出した。
■ おい。(怒)
まず、今のこの日本でエンゲル係数を持ち出して政権批判をする無意味さ。日本は発展途上国じゃない。家計に占める食費の割合は上がってるかもしれないが、問題の本質はそこではない。
結局変なネトウヨみたいな素人が大挙してウィキペディアを平気で書き換える事態にまで発展した。中学校の模擬討論じゃないんだから熟慮と分析してから理詰めで行かないと安倍晋三にこのようにたやすくかわされてネトウヨにバカにされておしまいなのだ。民進党はいつもこれだから解体の憂き目にあう。
日本では食うに困るほどではないからエンゲル係数なんて指数はもはやぴんと来ない。エンゲル係数が上昇しているのは安部首相が言う通り外食や中食が多くなったのも理由の一つだろう。家計で手持ちがなくなった時一番意図的に調整しやすいのも食費。エンゲル係数が提唱された昔と違って現代では携帯電話の費用などもあり、このような通信費は固定だから減らせない。お金がないときは飯代を削っても携帯代をねん出するのが普通だろう。だからこの指数を使っても本質は出てこない。もっと研究して違う指数を用いて攻めていくべきだ。
■ ではアベノミクス失敗をどうやって攻めるか
国民の生活が賃金が上がっていない分ひっ迫しているのは確かだ。安倍首相が渇望する「デフレ脱却」宣言を阻むのは個人消費の弱さだが、第2次安倍政権発足から5年(17年7~9月期まで)の軌跡を見ると、名目GDPは11.4%拡大したが、個人消費は4.3%しか増えていない。つまり消費低迷は長期化しているのである。
賃金の上昇はあるのか。日本を代表する大手企業の賃金だけはあがるだろう。(お正月に3%って直接お願いしてたからね)
近いうち財務官僚は賃金上昇したという発表ができるに違いない。 こうして国民は実感も恩恵もないままに「アベノミクス成功や~」という”大本営発表”を延々と聞かされる羽目になるだろう。
■ 一家庭当たりの労働生産性を観察せよ
そのアベノミクスの第3の矢「新たな成長戦略」。そのために「一億総活躍社会」の推進、それに不可欠な労働生産性を向上させようという「働き方改革」。これはうまくいっているのか。
そこでこのような指標をつくってはどうかと思う。
中低所得者層における
一世帯当たりの一日あたりの労働時間分の一日当たりの賃金
(労働時間には家事労働も含める)
つまり各企業の労働生産性ではなくて、「各家庭の労働生産性」だ。マイナンバーあるから出るんじゃないのか。それか、みんな各自計算してみればよい。企業の労働生産性などはロボットと機械でモノづくりをする製造業と飲食業や医療・介護など人件費集約産業的サービス業では比較することはできないが、一家庭に置き換えれば同じになるはず。
おそらく、育児、介護に追われる、あるいは病気や障害などで十分に働くことのできない家庭ほどこの数値は低くなる。この数字が引くければ低いほど社会保障費は増大していくはずであり、「各家庭の労働生産性合計」と「社会保障費」は反比例するはずだ。
だからこの数値を継続的に観察していきどのようにして改善していくかについて政策を考えればおのずと賃金・所得改善、社会保障費削減につながるのではないか。
■ 政府は企業より国民生活をよく見よ
財務省は税収を増やし支出を抑えることが仕事だからそれにいそしんでいるのはわかる。しかし国民の所得を上げないと税収は増えないのだからどのようにして所得を上げるかということについてその検討材料、つまりデータをきちんと分析して適時適切に国会に提示すべきだ。いまだにエンゲル係数なんかで議論する様子なんか諸外国から笑われますよ。全く情けないと思った1月末でした。
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