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「女性は土俵から降りてください」問題 ~謝罪したり伝統を守ると言ったり。きちんとけりをつけよ~

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 先週、京都府舞鶴市で開催された大相撲の春巡業で、土俵上で挨拶をしていた市長が突然倒れられるというハプニングが発生。横たわる市長を取り囲んでおろおろする男性関係者をしり目にさっと救命処置を施した女性に対して、「女性は土俵から降りてください」と、行司が場内でくりかえしアナウンスしてしまった。人命より女性差別的な「伝統」を重視しているとして当然大問題となった。

日本相撲協会の八角理事長は、「行司が動転して呼びかけたもの」として、不適切だったことを同日中にかなり早い段階で「サッサと」謝罪したようだ。

筆者は、八角理事長のこの対応の異様な速さに、このところ次々と発生している日本相撲協会がらみの醜聞問題の本質が見え隠れしているように思えた。

まず、行司はあのときに土俵に女性が上がってしまったことにたいして「なんとかしなければ・・」という思いがあったのは否めないと思う。土俵上は相撲が開始される前に神事で清められたあとであり、「穢れ」を持ち込むことは許されないことを厳しくしつけられているであろうから、このような事態になって慌てるのもわかる。だって行事の責任だからね。八角理事長はそのことを言ったのだろう。

「はいはい、とりあえず謝っときますわ」的な感じが否めない。コメントも短い。

やはり人命や顧客を軽く見ているんじゃないか?。相撲道を守ることが最優先だろうから。

だったら最も近くにいる呼び出し?の人か行司が救命を行うべきだよね。今回の一部始終動画で見ても土俵の関係者がこういった措置をとっているようには見えなかった。救命救急講習は定期的に90分受講すれば終了証をくれるので誰でもその技能を身に着けることができる。地元の消防署にお願いすれば無料で教えてくれる。スポーツ関係者、小学校のプール監視をするPTAのパパママだって一回一通りは教わることなのだ。看護師さんをはじめとする医療関係者、人が大勢集める施設にお勤めの人などこの講習は受けている人は多いと思う。

さて、今回の件では土俵上で市長をただただ心配そうに取り囲んでいただけの人はこういう時にどうすればいいかなんて思いつきもしなかったんだろう。たぶん呼び出しの人や相撲協会関係者は何もしているように見えないから救命講習を受けていたとは思えない。今回の場合は常駐していた消防隊員が担架をもって直ちに駆けつけているが、救急車を呼んだり助けが来るまでの間に経過する時間にどういう処置をするかが大事なんだ。

日本相撲協会は、公益財団法人として

「我が国固有の国技である相撲道の伝統と秩序を維持し継承発展させるために、本場所及び巡業の開催、これを担う人材の育成、相撲道の指導・普及、相撲記録の保存及び活用、国際親善を行うと共に、これらに必要な施設を維持、管理運営し、もって相撲文化の振興と国民の心身の向上に寄与することを目的」

としている。興行、巡業をして大勢の人に働きかけて相撲をご覧いただき、日本の伝統国技である相撲道の普及に努めるということであれば、いろいろなことを想定しておくべきだろう。外国人力士を積極的に採用して迫力ある取り組みをみせたり、プロスポーツ事業として発展を図る一方で、伝統を守るというこの相反する事象が起こりがちな局面において考え方の統一やしっかりとしたポリシーがないからだんだんおかしくなっていく。

暴力事件、内紛、今回のような事態。

今回の場合も土俵の近くにいる呼び出しが救命行為に当たるべきだったのではと思われる。それもしないでおいて、助けようと土俵に上がった女性に対して「伝統だから降りろ」降りた後で塩をまいたらしいが、神道の伝統はわかるんだけど、結果として、日本相撲協会自体の考え方というものはいったいどのようになっていたのかもう一回しっかりと反省しないと、今度もまた別な問題が発生するだろう。

相撲は力士と神様だけでやっているわけじゃないんだから「普及と継続」のためには「ステークホルダー」も大事にするということを理念に掲げた方がよい。そうしないと今回のような人命軽視と受け取られかねない発言が、無意識に関係者の口からこぼれ出るような組織になるのだ。

普及のための興行や巡業、そして神道の伝統を守ることの両立をそのようにはかっていくか、相撲だけではなくて、皇室関係の行事にも関係する大事な課題ともいえよう。

日本人のアイデンティティにかかる問題として時折問題になるこの問題をそのようにとらえていくか、柔軟に対応することが求められているのだと思う。

日本相撲協会の今後の対応も注目していきたい。

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