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介護休業制度の義務付けと在宅介護の推進~高齢化社会への対応はまだまだ道半ば~

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 医療の発達で昔なら亡くなっていた場合でも生きられるようになってきた結果、社会保障費が余計にかかるようになってしまった。

年金をもらう、介護が必要な人は介護保険、医療の必要な人は医療保険が使われる。症状や要介護度によるがトリプルで使えば月当り相当高額な金額が支払われる。各種報道によると国の借金は過去最高となり1,085兆円だといいその主な要因としてやり玉に挙げられているのが社会保障費の増大だという。消費増税をやりやすくするための下地作りのプロパガンダか。ま、事実だからしょうがないが。

だから国はなるべく入院させないように、在宅で看護介護するよう制度を整えつつあり、状態の重い人を在宅で看護介護すればするほど報酬をさらに高くするなどした来年度の診療、介護報酬改定の詳細な内容(社会保障審議会の諮問に対する答申)を発表したばかりだ。

しかしいくら訪問看護や訪問介護するといっても、だれか家族が一緒にいなければならないから、家族に介護対象者がいれば介護休業もしくは短時間勤務となる場合がほとんど。フルタイムでは働けない人がいっぱい出てくる。家計も大変になる。各都道府県の労働局の強力なる指導によって各企業は介護のために人が辞めてしまわないよう就業規則は整備させられており、していないところには罰則すらあるが、介護休業制度とはこうして給与が目減りした分どうするかなど全く考えられていない。ノーワークノーペイで構わないことになっている。

そこは雇用保険の介護休業給付金を使えということなのだが賃金日額の67%が、93日を限度に3回まで支給ということにとどまっている。介護って普通ずっと続くと思うのだが、どこかの施設に入れるか介護療養病棟に入院させるかまでのことを想定しておられるのではと思う。これは在宅で介護なさいという政策に矛盾している。賃金日額の67%というのも少ない。もともとの賃金日額が少ない人は生活できなくなるのではないか。要介護度にもよるが介護用品などにも結構お金がかかるものだ。税額控除や自治体によって補助制度もあるがおむつは介護保険制度の適用外だ。

かたや「介護離職ゼロ」などと一億総活躍社会を推進するスタイルをとりつつ、かたや在宅介護を推奨する2つの矛盾した政策は、家族労働者を困窮させ新たな社会問題を創出するだろう。いや、もうすでにそうなっているのかもしれない。

人命が失われないようにするのに金がかかりすぎて、国の財政を圧迫しているというのが残念ながら事実だ。

どうしてもここで「楢山節考」https://ja.wikipedia.org/wiki/楢山節考
が思い出されてしまう。

「金がないからムラの衆、助け合って生きてくれ」

ということか・・・・。

参考:地域包括ケアシステム 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

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