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気になる働き方改革の成果 ~労働生産性は改善したのか~

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 ご存知の通り、いま、日本の人口は年々減っていっている。「人口が減る」ということは経済が縮小することを意味する。「労働人口」と「需要」の両方が減るからだ。
 まずは労働人口が減る方のダメージが大きい。だから、政府は悪影響がなるべく及ばないように政策を打っている。その一つが、「働き方改革」だった。
 働き方改革は、次の3つの柱を持った政策である。

①長時間労働の是正
②正規・非正規の不合理な処遇差の解消
③多様な働き方の実現

 以上3つを実現したときの期待される効果として、「投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作る」という課題が解決されるとしている。
  ・・・・て、これ改善の実感がある人どれだけいるのか。
 失礼だが、このような何を言っているのかさっぱり具体性のない、どうすればこれが実現するのか誰もわからないような政策が、時間当たり労総生産性が主要先進7か国(アメリカ・カナダ・ドイツ・イタリア・フランス・ロシア・日本)の中で最低、OECD諸国の中で20位とい順位に甘んじる日本の打っている手なのである。

 帝国データバンクが、昨年、2018年8月にに全国の2万3千社余りの企業を対象にしたアンケート調査の結果によると、「取り組んでいる」が37.5%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(25.6%)と合わせて、63.1%が取り組みに前向きな姿勢であることがわかった。 
 しかしながら、働き方改革の影響が直接及ぶはずの本人たち、すなわち従業員を対象としたアンケートは、大手リサーチ会社や公的な機関ではいまだ行われておらず、ネットメディア系のアンケートなどが行われているのみである。
  そのなかで、日経キャリアNETが2018年7月下旬から8月にかけて21歳から59歳までの849人を対象に行ったアンケート結果によると、「働き方改革に100点満点で点数をつけると何点か」という問いに対し、59%の人が50点以下をつけた。なお、平均点は48.5点だった。落第である。
 この春に働き方改革法が施行されてまだ間もないが、これから徐々に結果は表れてくることだろう。しかしながら、このアンケートで平均点以下をつけた従業員たちの理由とは次のようなものであったということが発表されている。(以下抜粋)

× 有給休暇も残業時間も改善姿勢が見られない。
× 仕事を効率よく終わらせることが評価されず、だらだら付き合うことがチームワークになっている。
× 昭和の古き良き時代の悪しき手法を、問題意識の改善を感じず、そのまま踏襲している。
× ライフワークバランスやいろいろな制度を取り入れてはいるが、形だけで中身がついてきてない。

などなど。いずれも、多くの中小企業で見受けられがちな内容だ。

 労働生産性は数値だ。売上が変わらなければ労働時間を短縮することで分母が小さくなり、数値は上がっていくはずである。だから、ただタイムカードの退勤時間を早くするだけで労働生産性は上がるから簡単なものである。
 退勤後のサービス残業、タイムカードを押さずに休日出勤、「あるあるの働き方」。これらの防止対策について議論されているのを聞いたことがない。厚生労働省も、企業も、そして従業員も「見て見ぬふり」をしているのではないか。

首相官邸のホームページは、働き方改革について次のようなメッセージを掲載している。

「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。」

 「中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避」 のところは、最低賃金の引上げのところで手が打たれていくということなのだろう。これがどのように影響していくのか、本当に中間層の厚みが増すのかどうなのか今後注目であるが、最低賃金を法律で強制的に無理やりあげて 「成長と分配の好循環を実現 」できるのかどうなのかについては、検証なんかされていないにちがいない。すべては企業の自己責任で「強制的にやらせる」のは厚生労働省のお家芸だ。今度は人手不足に加えて高騰する人件費に悲鳴を上げつつ、中小企業がバタバタとつぶれていく番ではないのか。

 もう一つの疑問点。時間当たり労働生産性が上がったかについても、公益財団法人日本生産性本部集計結果がある。これによると、

2017年度の日本の名目(時間当たり)労働生産性は 4,870 円、過去最高を更新。

 ということになっている。さっぱり実感がないので業種別の推移を見てみると、案の定、製造業は生産性が上がっているが、サービス業は低下、小売業は横ばい、飲食店が低下という結果が出ている。特に飲食業の低下は著しい。
 製造業の上昇分で国内の他の産業の労働生産性低下分を補っている状況なのだ。
 さきほど、「格差の固定化を回避」することを政府がうたっていることを書いたが、製造業だけに力が入れられている状況で、そのほかの業種では「さっぱり」であることがよくわかる内容だ。

  国の政策、働き方改革に対する厚生労働省の型通りの施策というのは、高度成長期に形作られた製造業を中心とする輸出型経済をバックアップしていくやり方から脱却できていない。製造業がガンガン輸出して貿易黒字を出し、ほかの業界に影響を与える時代はもう終わったのに。まずは厚生労働省の具体的政策を考えるお役人が「考え方改革」をするべき時だろう。

 もうこの国は坂道を転げ落ちていく途中であって、これまでの経験則や小手先の施策ではブレーキが利かなくなっているように思われてしょうがない。

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