入国管理局の対応に見る日本の国際化 ~実はまだ鎖国状態なのか~

 6月15日行われた閣議決定で、外国人労働者の受け入れを拡大する方針が発表された。「少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現」を副題に掲げ、少子化や人手不足に対応するため外国人労働者の受け入れ拡大などが盛り込まれた内容。内閣府は毎年20万人を受け入れるという。

就労を目的とした新たな在留資格を創設。人手不足が深刻な業種について、一定の日本語能力と技能を持った外国人や、既存の技能実習(最長5年)を終えた外国人を対象に5年を上限に在留を認めるというもの。

「移民政策とは異なる」との位置付けで家族の帯同は認めない。ただ、さらに高度な技術を身につけ別の在留資格に移行すれば、家族の帯同や長期滞在も可能となるよう検討するんだとか言っているが、そういう例はあまり出ないだろう。

なぜなら建設、農業、介護などの日本の若い人が嫌がって就労しようとしない、不足しがちな労働力を補う目的であることはだれの目にも明らかだからである。

要は、いやな仕事は安い外国人にやらせようということである。これ、国の政策である。

現在でも、例えば鶏の解体、魚の解体などに過疎地域で人手が必要な工場では「技能研修ビザ」で若い中国から来た若いお嬢さんたちなどが狭いアパートの部屋に2~3人で住みながら働いている。電車もバスもあまりない地方で買い物に行くにも自家用車もないため、若いお嬢さんが地元の人ならまず歩かないような国道の端を歩いて買い物に行くという地元民から見たらちょっと不思議な光景がよく見かけられる。そしてこの光景はここ数年でめっきり増えたような気がするのだ。

これ、実質的な”移民政策”になっているのであるが、「技能研修」だのなんだの実態にそぐわない理由をつけて、実質的な移民政策を認めようとはしていない。
だって、日本の人口は毎年マイナス0.2%位ずつ減り続けているのに、在留外国人の人口はプラス7%弱の勢いで増え続けているのだ。移民政策の効果が見事に出ているではないか。「保育園落ちた日本死ね!」などといわれて、慌てて厚生労働省がざくざく助成金を出して取り組んでいる各種の少子化対策より、よっぽど効果が出ているではないか。

ところで、この「技能研修移民」政策、なんのためにやっているのだろう。日本の経済政策のためだというならばそれはちょっと疑問だ。なぜなら彼らの多くはおそらくあまり日本国内で消費もせず、社会保険にも入らず、そしてもらう賃金の多くは母国へ送金されると思われるからだ。労働力の補完対策にはなっているが、「日本国の繁栄」という終局の目標に対して貢献しているといえるのか。

ここらへん、日本の国際化政策のセンスが疑われる。

「入国管理局の問題」というキーワードで検索すればたくさんの問題提起記事が出てくる。

日本の入国管理のコンセプトは「日本にとって不都合な人間が入国することを水際で食い止める」とこが目的だという。だから、

「よくわからない変な奴はできるだけ入国させない」

という考えが働くのだ。ほかのビザへの変更もできるのだが、これについては次のような文書が外務省から出ている。よく意味を考えて読んでほしい

在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン
http://www.moj.go.jp/content/000099596.pdf

これによると、「条件がそろってれば、基本的に認めるけど、認めないこともある。
それは個々の場合を判断して法務大臣が都度決める。」
という、要は、

「入国管理局の役人のご機嫌次第です」

という実に恣意的なものだ。

つまり、法務大臣が一人ひとり見るわけないので入国管理局の職員が適当に決めているということだ。担当が違うと結果も変わるというのは関係者の間では有名な話らしい。

筆者は思った、ひょっとして江戸末期の

「攘夷」

の考え方と同ではないか。

恐るべし日本。こうはなってほしくない。
早くちゃんと国際化してほしいものだ。海外に悪評が立たないうちに。

いや、もう立ってるのか。

まず、役人たちが国際化しないとだめだな。

コメント

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