働き方改革、進捗度、ゼロ ~このままでは人口減少時代に生産性向上はない~

働き方改革が言われて久しい。

そもそも、人口が減っていくこの時代に経済成長、あるいは生産性を維持するためには「一億総活躍社会」を実現するとともに「働き方改革」を行って、労働生産性を上げてくださいというのが趣旨だったはずだ。OECD諸国の中で労働生産性20位という不名誉な結果を甘受する日本はアベノミクス第3の矢で労働生産性の向上を図ることとなった。
労働生産性は、計算上、売上総利益にあたるものが変わらないとすると、労働時間を短くすれば上がっていくことになる。だから、残業削減しろと。そこへ、電通の過労自殺事件などの報道が拍車をかけた。今、全国の職場では必死に残業削減に取り組んでいる。・・・・・・ちょっとまって、それ以前からやってるよね。

2017年の経団連の調査(https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/055.pdf)によると、2014年から2016年の3年間で見ると年間総労働時間は全体では段階的に確かに下がってきているが、非製造業では逆に上がっている。
もうひとつ、企業の規模別でみた年間総労働時間では、大企業ほど労働時間が長い傾向があるのが面白い。大企業ほどたくさん人がいるので、意思決定に時間がかかるのもあるが、上下関係のピラミッドの規模が大きいので、責任分担がたくさんの人に分かれて仕事の結果がわかりにくいがゆえ、長時間仕事をしてる方が評価的に有利に働く傾向はいつまでたっても治らないのだろう。「上から命じられた仕事をしたがこなす」形態では、仕事に定量性なく、どんどん回されどんどんこなせば必然的に残業は増えることとなる。そんな関係上、上司だって「早く帰らせる」ということは言いにくいに違いない。だから若い人たちが疲弊して社会問題になる。

いずれにしても大して変わっていないというのが実態だし、今後も日本の労働生産性を飛躍的挙げるような起死回生の策はないということは、これ、言えるのではないかと思っている。

トップによる、残業削減、年休取得推進など一部では行われているようでも、大して効果を上げていないことがよく分かった。日本経済は危機的状況で、こんな悠長なことやってる場合ではない。プレミアムフライデーなどほとんどの会社ではしないだろうからやめた方が良い。(ちなみにみてみたらまだやってる。有名タレントなんか使っている。この予算、もっと大事なことに回すべきだ。)https://premium-friday.com/

きっとこのようなことは意味がないのである。

働き方改革は、根本的なところから見直すべき時期が来ている。これからの、AIの進化も含めて考えるとこれからの未来にどういう労働形態がふさわしいのか考える時期なのではないか。それなのに、いそげいそげで労働法をいじりまわして規制強化して、余計な仕事をわんさと増やす。まさに愚の骨頂というべき。そういえば、厚生労働省がこのところ残業時間が多く問題になっているとか。自分たちが一番改革必要になっているではないか。もう、ほんとこの国の病巣は深いぞ。

みんなであつまって必要な物を生産して、販売して国を豊かにしていく必要のあった時代のシステムは今後も続くのだろうか。物が足りているこの時代、逆に求められているのが自由な時間なのだとすると、1日8時間と決められている労働時間をもっと柔軟に考えてはどうだろう。正社員と非正規社員の格差が良く言われ、全員正社員になるのが理想のようにいわれるけれども、いっそのこと全員自由にすればよいのではないか。

つまり、仕事の量、あるいは成果物、のみを決めて契約、それをこなせたらいつ来ても帰ってもよい。そのほかの時間は他に雇用されることや自分で仕事することも制限しない。「雇用は8時間拘束」という考え方自体を変えれば、副業もしやすくなって個人個人の生産性は上がるのではないか。

もはや労働者と使用者という対局的考え方自体をやめないと、使用者が労働者の生活を保障するといったような形態はもう限界が来ているし、労働者もそういう使用者のもとで働く、「働きにくさ」というものが浸出してきているような感じがするのだかどうだろう。
働く国民は、強者も弱者もどんな人でもそれぞれの特性に合わせて様々な役割が用意されてそれぞれのレベルに合わせた生産性を最大限に発揮できる社会。

これこそ今、厚生労働省も、経済産業省も手を変え品を変え繰り返し議論してきていることなのではないだろうか。

あわてて、労働基準法を手直しして企業に押し付けておしまい、という従来の行政は早く改めなければならない。

では、具体的にどうすればよいかについて、次回から考えていこうと思っている

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