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オウム死刑囚、刑執行 ~事件に区切り、なぜ若者は信者に~

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 オウム真理教が引き起こした一連の事件に一つの区切りがついた。麻原彰晃こと松本智津夫被告ら教団トップら7人の死刑が6日、地下鉄サリン事件発生以来23年数カ月の時を経てついに執行された。

今回のこのニュースは、重大な犯罪者が処罰された、という事実だけを受け止めて済む問題ではないと思う。

あの事件から、今後の社会が学ぶべきことはなんだったのだろう。

一つ注意しなければならないことは、この事件が、個人ではなく集団が引き起こしたのだということと、その集団の構成員たる「オウム信者」はなぜそうなったのか。これらの検証がどうしても必要になるのではないかという点がある。

麻原彰晃ほか事件に関与したオウム幹部の責任は当然問われるとしても、事件の規模、影響があまりにも大きすぎ、個々人の責任にして終わらせてしまうと、今後このようなことが二度と起こらないよう備えるための、反省材料を永遠に失ってしまいかねないではないか。

これは社会的問題としてあつかうべきで、「社会VSテロ組織」の図式で終わらせ、「テロ組織殲滅で終了」ということで済ますと、また同様の問題は繰り返されるだろう。

元ジャーナリストでオウム事件の取材記事を多く書いてきた有田芳生氏によると一般にカルト宗教にはまってしまう人には次の特長があるという。

1.父親あるいは母親との軋轢を抱えている。
特に父親から社会的価値観を教わってこなかった。
2.反抗期の欠如、社会性の欠如。
親や兄弟姉妹に優しい人物が多い。

彼らがエリートだったということから想像すると、父親は仕事に邁進し、あまり子供にかかわらず、母親からは英才教育を受けてきた、有名大学を卒業して一流企業に入ったような、そんな印象だろうか。

今回死刑になったオウム幹部の年代は、50代。ちょう大学を卒業して数年たったころがバブルの真っ最中であったころだ。真面目に受験勉強をして一流大学に入り、一流企業に入れば一生間違いない勝ち組になれると皆が信じて疑わなかった世代。

信じて疑わない世代。ここが問題。彼らは親の言う通りにし成功をおさめてきた。なんの問題もなかった。親とはこの世で一番信用できる人。だから、その方法しか知らなかった。ところが、そんな彼らは親から離れ、企業の指示に従おうとするときに違和感が生じる。

坂本弁護士事件の実行犯のひとり、岡崎一明死刑囚は、麻原彰晃について「父や母のような存在でした」と裁判で語っていたという。

教祖とは、父や母の代わりだったのだろうか。

素直すぎた彼らは、ひたすら教えこまれた常識に、「ポッ」と今まで聞いたことのないような教祖からの神秘体験が提示されると、彼らはそれを信じて疑わなかったのではないだろうか。親の代わりである。

・・・でも、想像で勝手なことを考えてもほんとのところはわからない。どうだったんだ本当は。教えてほしい。でも、

死刑になった彼らからは、もうそのような話は聞けないのだ。

近年、SNSで拡散されるフェイクニュースなども、「マスコミが報じない真実」などと言って簡単に信じてしまう人多くいることを考えると、情報を取捨選択するリテラシーというものの重要さを再評価せざるを得ない。

ぜひともなぜ、彼らがオウムに走ってしまったか、この研究はジャーナリズムのみに任せず、教育研究者の間でも真面目に研究されることを期待したい。

そして、「マインドコントロール」に陥らず、自らの価値観で自ら選択して社会を作り上げる人づくりを、社会全体で行っていってほしいと思う次第である。

 

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